ギラン・バレー発症の記憶8

タケです。

 

今日の病院での夕飯にスイカが出ました。

 

奇しくも、リハビリ中に「瓜田に履を納れず」という言葉を知ったその日に。

「李下に冠を正さず」とセットで、瓜田李下(かでんりか)」という言葉もあるんですね。

人に疑われるような言動は慎まなければならないということで、昨今の政治家や体育団体のみならず、気を付けていきたいものですね。

 

さて、集中治療室での処置、というより、今後の処置に向けた準備が終わると、

医師が看護師に指示を出していました。

 

これから運ばれていくのはICUIntensive Care Unit)日本語で集中治療室

あれっ、じゃあさっきまでいた場所は何???

改めて確認すると、ER(Emergency Room)日本語で救急救命室とでもいうのでしょうか。

 

いずれにせよ、運ばれていく先はICU

それもナースステーションの一番近くの場所。

ナースステーションの一番近くってどんな感じ?と思いながら聞き耳を立てる。

 

ベッドのままERから出ると、妻と子供たちが近づいて来ました。

おぉ、子供たち~と思ったのですが、首から出ている管が邪魔で、唯一動いていた首が自由に動かせず、上手く横を見れません。

 

進んでいくベッドの横を、子供たちが急ぎ足でついてくる。

ICUは子供の入室禁止らしく、ベッドに付いてきた3人とは入り口でお別れ。

ERを出てICUの入り口までは、ほんの少し。一瞬でした。

 

ここでお別れだよ、と言われ、ベッドの上の父を見ながら、子供たちは「ばいば~い」。

ちょまのん、君たちはこのバイバイの意味が分かっていっているのだろうか。

父は入院するのだ。

本当のバイバーイになったりしないよな。

次はいつ会えるのかな。

絶対帰ってくるからなと頭をかすめる。

 

殆どベッドから天井を見ながらの移動だったので、どこをどう進んでたどり着いたのかは正直よく分かりませんが、大きな部屋の中に入っていき、ベッドが設置されました。 

ICUの中は、一つの大きな病室の中にカーテンで間仕切られた各ベッドとナースステーションというか、看護師の机や備品が置かれた作業スペースがある感じでした。

間仕切られた個々の患者のスペースはベッド3台くらい入りそうなほど広いです。

中でも、僕のベッドが設置されたのは、そのナースステーションのド真ん前。

足をナースステーションに向ける形。

少しベッドの頭の方を起こしてくれたので、丁度、目線の先に看護師たちがいる形です。

向こうがこっちを観察しているのか、こっちが向こうを観察しているのかという感じで、常に目が合いそうです。

 

◇位置関係 

ナースステーション(沢山の看護師がワサワサ作業中)

計器のモニターや端末(たまに医者や看護師が近づいてモニター見てる)

カーテン(しかし開いてる)

ベッド(足の方)

ベッド(頭の方)

見えない世界(いろいろあるみたいだが、首が動かず姿勢も変えれないので見えない)

 

という感じです。 

 

ちなみに、看護師さんに用事がある場合は、通常、ナースコールというボタンがあり、これを押して知らせるものですが、如何せん、手が動かず、ボタンを押すことが出来ません。

その為、ボイスコールというものが頭の横に設置されました。

横からマイクの様なものが口元に伸びてきて、息を吹きかけると、ランプと音で呼んでますよ~と知らせるという代物です。

息で反応させるので、ブレスコールと呼ぶべきですが、看護師さんは皆、ボイスコールと呼んでいました。もちろん設定で声に反応させることも出来るようです。

 

このボイスコール、息を吹きかける角度と強さが難しく、何度もフーフー息を吹きかけても鳴らないときは鳴りません。

かと思えば、何気なくフッと息をついたり、くしゃみをしたりすると鳴ってしまい、「どうしました?」と看護師さんが近づいてきます。

 

とは言え、このボイスコールが何かあったときに助けを呼ぶ生命線です。

少し体の向きを変えてもらう度に、ボイスコールの位置や向きを変えてもらい、テストで息を吹きかけて、一度必ず鳴らせるかをしつこいくらい確かめさせてもらいました。

 

足元で計器を見ている看護師さんに医師が近づいて、何やら指示しています。

はっきりとは聞き取れませんでしたが、何とかの場合、人工呼吸器を躊躇せずに行くよ、といった指示の様でした。

 

さっきも、今日中に人工呼吸器をつける可能性があるが、承知してほしいとか言われたので、逆に人工呼吸器ってつけない方がいいのでは、とよく分からないながら、出来れば避けるべきものだと頭にインプットされました。

 

それもこれも、これから行う血漿交換の効き目次第。効かなければ、今晩中に呼吸が出来なくなり、人工呼吸器が取り付けられるのです。

 

医師たちが、首から出ている管に、何か機械をつなげ始めます。

いよいよ、血漿交換の開始です。

 

血漿交換

人の血液は、赤血球や白血球などのいわゆる「血球」とその他の「血漿」で成り立っています。そして、神経を攻撃していると思われる抗体は「血漿」に含まれます。

体から血液を抜き取り、「血漿」を取り除いて、健常な人から集めた「血漿(若しくはアルブミン)」を加えて体に戻すことで、血液を正常化するという方法です。

 

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